Teleの音楽には「愛してる」と「ぶっ殺してやる」が、この世界の美しさと醜悪さが、死と誕生が、記憶と今が、ヒロイズムと諦念が、労働と夢が、怒りと退屈と恍惚が、自然に隣り合っている。割り切れないものが割り切れないままで、極彩色のポップスへと変貌していく。これは「本当のこと」を言おうとする音楽である。しかし、それは告発や告白というよりも、祝福として。さあ、糞と慈愛のシャンパンを開けろ。その存在を祝ってやる!――なんて愛らしく、そして痛ましいほどにリアルな音楽だろう。
理解されることもされないことも望んでいないだろう。ただ、この音楽は流れ着く先にいる誰かときっと繋がる。もう、どうしようもないほどに。(天野史彬)