アルバムの当たり年で群雄割拠な2024年の地勢に、ザ・スマイルは大きく屹立していると思う。何せ、年頭に発表されたセカンド『ウォール・オブ・アイズ』のディープな音世界の余韻がさめやらぬうちに、早くもサード『カットアウツ』が登場したのだから。来月開催される、トム・ヨークにとっては久々の、そして日本では初となる待望のソロツアーは「Everything」と銘打たれている。ということはザ・スマイルの楽曲もいくつか混じるだろうし、予習という意味でもぜひ聴いてみていただきたいアルバムです。
『ウォール〜』と同時期に録音された音源を集めた『カットアウツ』は、いわば続編に当たる存在と言える。そこに『キッド A』と『アムニージアック』の関係をだぶらせることもできるし、脂の乗り切った活動を展開中のトム&ジョニーの最新モードが味わえる、素晴らしく聴きごたえのある作品になっている。2022年の衝撃のアルバム・デビュー以来、痛快な遊撃戦を繰り広げてきたザ・スマイルの足取りを振り返るひとつの節目とも言えるこの作品について、ロッキング・オン11月号で考察を執筆させていただきました。ナゾの多いこのバンドの、いくつもあるドアを開く鍵になれば幸いです。(坂本麻里子)
ザ・スマイルの記事が掲載されるロッキング・オン11月号