この音に追いつくその日まで

OAU『Time’s a River』
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OAU Time’s a River
2010年よりバンドがオーガナイズしている野外フェス「New Acoustic Camp」をイメージして制作されたという新曲。まず、音がいい。各楽器の音色が非常にクリアかつビビッドに録られており、この質感だけでも心地よく聴き続けられる。また、打楽器として鳴らされるギターとブズーキが軽快に跳ねるグルーヴの快楽性も極めて高純度。さらに、MARTINのメインボーカルにTOSHI-LOWとRONZIのコーラスが重なるボーカルワークの気持ちよさたるや。技術的にはかなり高難度の演奏であるものの、そうしたことを頭で考えるより、「楽しい」「嬉しい」といったポジティブな感情が身体を支配するスピードが勝る。踊り出してしまう。約半年前に上梓された『New Spring Harvest』はインスト曲を含め非常に強いメッセージ性が込められた、コロナ禍においてその先の希望を真摯に見据えた作品であったが、圧倒的な解放感に満ちたこの楽曲は、もはやコロナ禍の先に確かにある希望そのもののようである。優れたポップミュージックは現実の先を行くのだということを、OAUは見事証明してみせている。(長瀬昇)

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