君と僕の日常が描かれた歌詞の世界。それと音楽が、詞曲を手がけるボーカル&ギター宮本英一のほとんどの生活を占めているようだ。素朴な手触りの合間からは、幾重にもねじれ曲がった、一筋縄ではいかない視線が見えてくる。
《君が知っているなら 僕はきっと知らないはずだ 僕が知っているなら 君はきっと知らないはずだ》《それで分かり合えたような顔してるんだ僕らは》。と言いつつも、《今日も僕と君とのあいまいな世界で 何をしても それは素晴らしいことになるだろう》と歌う。バンド名の由来となったしりあがり寿の作品のように、日常に潜むどろどろとした毒=真理を、10年間熟成したとてもコクのある音楽に昇華している。(小松香里)