まさにタイトル通りの作品である。全5曲それぞれで異なるサウンドアプローチを見せるものの、そこに描かれているのは「愛という病気」にかかるほど愛という感情に魅せられ、翻弄され、救われた人間の姿だ。伸びやかなミドルテンポのギターロックナンバー“マールム -malum-”と阿坂亮平(G)が作曲を担当したキャッチーでスタイリッシュなファンクナンバー“promenade”は、歌詞のどこを切り取っても、緻密に言語化された「君」への溢れんばかりの愛しさで満ち、趣向の凝らされたアレンジが恋のときめきをより魅惑的に映し出している。
“無重力”は稲生司(Vo・G)が再びステージに立つため、つまり音楽とバンドへの愛から生まれたロックバラード。等身大の心情をつぶやく彼の歌声を、しなやかで芯の強い音色が包み込む構図にも、メンバー間の信頼関係が滲む。《翼が折れた鳥のような僕》が、それでも飛ぶために両腕を広げようとする。どんな物語も、主人公の心の機微や小さなアクションから始まるものだ。今作は、彼らが愛しくて仕方がないものを手にするためのプロローグである。(沖さやこ)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年5月号より抜粋)
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