【インタビュー】DIALOGUE+のメンバーと総合プロデューサー田淵智也が、最強布陣で作り上げた『PENTA+LOGUE』全曲を語り尽くす!

【インタビュー】DIALOGUE+のメンバーと総合プロデューサー田淵智也が、最強布陣で作り上げた『PENTA+LOGUE』全曲を語り尽くす! - photo by 伊藤元気(symphonic)photo by 伊藤元気(symphonic)
声優として活躍するメンバーたちが本気で歌唱とダンスに向き合ったら、かくのごとき「ロック」なエンターテインメントが成立する──という唯一無二の道を突き進んでいるDIALOGUE+前回のインタビューではグループの成り立ちをじっくりひもといたが、そこで少し触れたように、9月17日に新作EP『PENTA+LOGUE』がリリースされる。このEPについて総合プロデューサー田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN/B)は、本気で「豪華作家陣集結!」と言える作品を作ったと語っていたが、清 竜人、じん、玉屋2060%(Wienners)、宮野弦士という布陣を見るだけで、その本気に偽りなしと誰もが納得するのではないだろうか。それに加えて田淵自身の手による楽曲も最強レベルのカオスとポップに満ちたものが完成している。今回はこの作品に収録された超強力な全5曲について、メンバー7人と田淵Pにじっくり語ってもらった。

インタビュー=杉浦美恵


これまでも「この曲は私たちにしか歌えない」、「この8人だから歌えるんだよね」ってずっと思って歌ってきた(飯塚)

──まず1曲目の“DIALOGUE+THE MOVIE”からいきなりトップギアで。DIALOGUE+のストーリーを感じさせる楽曲がカラフルにアグレッシブに表現されています。これは玉屋2060%(Wienners)さんの作詞・作曲。この曲を受け取って、みなさんはどう感じましたか?メンバーそれぞれのソロパートでつないでいく構成の楽曲なので、せっかくなのでそのパート順に聞いていきますね。最初の《神様はいたずらっ子》のところから。

守屋亨香 最初は私ですね。私はもともと玉屋さんの作る楽曲が大好きで、その玉屋さんに作ってもらえるというだけで嬉しくて。玉屋さんがほかのグループに提供している楽曲とはまた違った方向性の曲で、DIALOGUE+に合わせて作ってくれたんだなと、玉屋さんの本気を感じた楽曲でした。

──そして次に続く《予想だにしないシチュエーション》が村上さん。

村上まなつ この曲を作るにあたって、玉屋さんにはZoomでインタビューをしていただいたんです。そこでDIALOGUE+の活動が始まったときの想いや、感じてきたことを細かくヒアリングしていただいて。だから、この曲には私たちが歩いてきた道のりが表されているんです。

──次の《「まさか」と「本当?」ばっか》のところは緒方さん?

緒方佑奈 はい。この曲は最初に聴いた瞬間に爆風を浴びたような衝撃で。ものすごい曲がきたなと。田淵さんがライブのセットリストを組むときに、「ワンダーを詰められたらいいよね」っていう話をよくするんですけど、この曲は、1曲の中にものすごくワンダーを感じます。曲の中にセリフがあるのも、声優である私たちの強みだし、ほんとに映画みたいだなって。

──続く《めくるめく物語です》のところが鷹村さん。

鷹村彩花 すごい、テーマパークみたいな曲ですよね。ジェットコースターもあるしメリーゴーラウンドも、コーヒーカップも、観覧車もある。玉屋さんが外からの視点でDIALOGUE+を表現してくださって、改めて私たちってとんでもないユニットなんだと感じることができました。

──Bメロに入って、《そんな一大感動巨編 刮目せよ》が内山さん。

内山悠里菜 1曲の中ですごく緩急があって、まだ自信が持てずにいた頃の感情とかも含まれていてグッときます。あと「ログっ子」(=ファンネーム)っていう言葉が歌詞に入っているのは、聴いているみんなもきっと嬉しいだろうなって。

──確かに。そして《息を呑むほどスペクタクル》と続くのは稗田さん。

稗田寧々 私も守屋と同じで、リスナーとして玉屋さんの楽曲が好きでよく聴いていたんです。私は映画がすごく好きなんですけど、本編を観ている間は泣かなかったのに、エンドロールが流れ始めた瞬間に涙が溢れるような作品がたまにあるんですよね。この曲にはそれに近いものを感じました。自分たちの人生にも重なるような気がして、終盤の《よこしまない 未完成のユニゾン》って歌うところなんかは頭の中に映画のエンドロールが流れるイメージが浮かびましたね。

──飯塚さんのソロはサビの3行目《近日公開予定の本作》というところからですね。

飯塚麻結 はい。これまでも「この曲は私たちにしか歌えない」「この8人だから歌えるんだよね」ってずっと思って歌ってきたんですけど、その想いのすべてが詰まっている曲だと思いました。この文字量の多さ、ほんとにひとりじゃ歌えないです。ライブでログっ子のみんなの目を見て伝えることができる喜びが詰まっているような気がします。

──田淵さんはこの楽曲、玉屋さんにどんなオファーをしたんですか?

田淵 玉屋さんが女性に提供する曲はかわいい感じのものが多いイメージなんですけど、この曲はパンクだしロックだし、どちらかというとWiennersの曲に近いものがきたなと。特に「こういう曲を」とリクエストしたわけではなく、ほかの作曲家の方にも同じように伝えたんですが、「今回はこういう作家陣でEPを作ります。その中でいちばん目立てると思う曲を書いてください」というようなお題から始めました。

──玉屋さんと共同アレンジで、半田 翼さんの名前もありますね。

田淵 玉屋さんからすごくパンクな曲がきて、一等賞を取りにきてくれた感がすごくあって。ここからさらにDIALOGUE+でしか生まれ得ないものを作るのが僕の使命だとも思ったので、玉屋さんの爆速パンクロックに、あり得ないストリングスを加えてクラシックの要素が入ってきたら、今まで聴いたことのないものになるんじゃないかなと、勇気を出して共同編曲の提案をさせていただきました。

【インタビュー】DIALOGUE+のメンバーと総合プロデューサー田淵智也が、最強布陣で作り上げた『PENTA+LOGUE』全曲を語り尽くす!

(“ジントニック・ディスコ”のような楽曲を)今、私たちが歌わせてもらえているというのは、グループとして成長した証でもあるのかなあって(緒方)

──2曲目の“ジントニック・ディスコ”は作曲と編曲が宮野弦士さんで、作詞が田淵さん。DIALOGUE+には過去にも“シャーベットマーメイド”や“プライベイト”など、グルーヴィーな魅力を放つ楽曲がありますが、この“ジントニック・ディスコ”の爽やかなディスコビートはまた新鮮でした。

内山 一聴して、これは相当オシャンだなあって思いました。

稗田 宮野さんの楽曲だからオシャレで大人っぽい感じを予想していたんですけど、作詞が田淵さんだから、DIALOGUE+らしい明るさもあって。

守屋 そうそう。きれいな言葉遣いをしていながらも、滲み出てしまう元気さとかキュートさがあって、そこが私たちらしくて聴いていてすごく気持ちいい曲です。

緒方 でもこういうオシャレな楽曲って、ちゃんとリズムが取れていたり、しっかり表現し切れていないと曲負けしちゃう可能性もある。そんな曲を今、私たちが歌わせてもらえているというのは、グループとして成長した証でもあるのかなあって。かなり練習を重ねて臨みました。

鷹村 今回は、タイトルにお酒の名前が入っていて。もちろん私たちはもう大人ですけど(笑)、DIALOGUE+は大人にもなれるんだなあって思いました。

村上 ついにDIALOGUE+がお酒の歌を歌うようになったんだよね(笑)。

飯塚 私はお酒が好きだから、嬉しかったです(笑)。それはさておき、この曲は歌詞が音の1拍1拍にはっきり乗る感じではなくて、譜割りもオシャレで、歌うのは難しかったんですよね。

田淵 たぶん激ムズの部類に入ると思います。宮野さんはポップな曲やダンサブルな曲で日本受けする曲が得意な人という印象があったんですけど、実はド洋楽の人で、たとえば4小節の完璧なコード進行ができたら、一生それを回しているのが気持ちいい、みたいな人。そんな宮野さんとやりとりをしながら、どうポップとして成立させていくか、そして宮野さんのグルーヴの魅力を損なわずに、どう歌詞を乗せていくかというのが僕の挑戦でもあって。宮野さんのようなすごい作曲家の作った曲に歌詞を書くとなると、どんな不思議な力が出てくるかなという挑戦が半分、DIALOGUE+流の歌になるようにという調整半分で、結構緊張感のある作業でした。音乗りの良さ、ワードのリズムの良さを宮野さんに認めてもらえるだろうかと。

──そして3曲目が、清 竜人さんの作詞・作曲・編曲で完成した“2人、降り積もっていく”。これまでのDIALOGUE+になかったような、とても美しいラブソング。それぞれの歌声がほかの楽曲とは違ったキュートさとピュアさを表現していますね。

村上 レコーディングのとき、田淵さんとどういう歌い方にしようかと話していたんです。今まで通りの歌い方で強みを生かすという考え方もあったんですけど、私はこの曲で成長したいと思ったので、今までやってこなかった歌い方をしますって伝えました。それがよく出ているのがDメロの《どんなことを考えているの?》っていうところで、ほんの1フレーズですけど、聴いた人がドキッとするような歌い方になったと思っています。

飯塚 私も歌い方は苦戦しました。自分の気持ちいいように歌っていたらほかのみんなの歌との混ざりがよくないなあと思って。でも、最後のほうのきょんちゃん(守屋)とふたりのパート、《手と手が触れ合えば 伝わってほしいの》っていうところとかは、気持ちの盛り上がりもあるから、ここまできたら少し強めに歌ってもいいよね?って。

稗田 私も歌い方は模索しましたね。普段の私はパーンと突き抜けたロックっぽい歌い方が得意なんですけど、パワーで押し切れる楽曲ではないので、語尾やニュアンス、歌い方を意識して、いつもよりも甘い感じにしています。そういうところも聴いてほしいですね。

鷹村 私は声質からして、普通に歌うと幼くなっちゃうんです。でもこの曲では、幼さの要素はほんのひとつまみくらいでいいかなって思ったんですよね。この幼い声は最初の3行でウィスパーっぽく、こしょこしょ話をしている感じにしたらうまく生かせるんじゃないかと。でもここ、何度も録り直しましたよね?(笑)

田淵 だいぶ時間がかかった気がする(笑)。

鷹村 ですよね(笑)。そこはこだわりました。

緒方 この曲は、こうやって(両手で優しく掬い上げるように)大事に歌わなきゃって思ったんです。降り積もっていく雪みたいに、ぎゅっとつかんだら潰れてしまうくらい、ロマンチックで繊細な楽曲だから、「かわいい」を作りすぎるとかわいくなくなってしまう。私はナチュラルに歌うとお姉さん系になってしまうんですけど、「それでもいいよ」って田淵さんは言ってくれたので、声色というより、言葉一つひとつのニュアンスを意識して歌うようにしました。

──清さんの表現する歌世界、この曲はほんとに繊細ですよね。

守屋 私、清さんの楽曲がすごく好きなんです。初めて出合ったのが、神宿さんの“グリズリーに襲われたら♡”だったんですけど。

稗田 きゃー、わかるー!

飯塚 私も大好き。

守屋 ねー。そんな清さんが私たちにどんな曲を作ってくれるんだろうって楽しみで。最初のまだ歌割りとかも決まってない段階で一旦全部歌ってみたんですけど、そのときの自分は、ただただ憧れの人に提供してもらった曲を気持ちよく歌っただけの人になっていたと思います(笑)。最初の《ねえ キスをしよう》っていうところからキャッてなっちゃうし、きっとログっ子もそうなるんじゃないかと(笑)。

飯塚 うん。恥ずかしくてファンサできないかも(笑)。

内山 (笑)。この曲、当たり前だけど、ライブでも歌うんだもんね。ライブの途中で体力を消耗している自分が、この曲をちゃんと表現できるかなぁ(笑)。「おりゃー!」って勢いで表現できる曲ではないので、今すでに震えて眠ってます。

村上 いや、眠れてるし(笑)。

──田淵さんは、清さんからここまでのラブソングが出てくるというのはイメージしていましたか?

田淵 これは予想外でした。清さんにも「自分がいちばん目立てる曲を」というお題の提示をして始まったんですけど、清さんは絶対的なメロディメーカーとして尊敬している方なので、今までの清 竜人ワークスの中で、「僕はこの曲のメロディが好きです」みたいな話をわーっとして。それで清さんが、とにかく「メロを書く」という方向に向かったんだと思うんですけど、AメロもBメロもサビも全部グッドメロディで、清さん自身もこの曲をすごく気に入ったみたいです。予想を超える曲がきましたね。

次のページそもそも我々世代で言えば、じんさんは青春そのものなので、DIALOGUE+としてじんさんの曲を歌えること自体が感動でした(稗田)
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