ハードロックという言葉には、どこか70年代の匂いが伴っている。80年代にヘヴィメタルという呼称が定着したのは、音楽的な差異以上に世代的な違いを打ち出そうという当事者たちの意志がそこにあったからでもあったはずだ。
そしてエクストリームな方向へと尖鋭化と細分化を進めてきたヘヴィメタルは、いまやシンプルに「メタル」と呼ばれるようになり、その領域はむしろ曖昧になっている。異形の匿名軍団、スリープ・トークンが英米双方のアルバムチャートを制覇し、驚異的密度の新作を発表したローナ・ショアが急速に支持を高めつつある中、デフトーンズの再評価熱が高まり、10月13日にさいたまスーパーアリーナで開催されるメタルの祭典『LOUD PARK 25』では、古い歴史を持つ大物ではなく、メタルコア世代にとってのヒーローというべきパークウェイ・ドライヴがヘッドライナーを務めることになる。確実に、メタル界隈で何かが変わりつつあるのだ。
10月7日発売のロッキングオン11月号では『最新メタル事情2025』と銘打ち、現在のメタルシーンとその周辺の現状について深く掘り下げつつ、その傾向について分析していく。メタルに精通している読者ばかりではなく、この領域にあまり足を踏み入れることのない方々にも、是非この機会にハードロックでもヘヴィメタルでもなく、メタルの“今”に目を向けてみて欲しい。（増田勇一）
「最新メタル事情2025」記事が掲載されるロッキング・オン11月号
