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コンポーザー真部脩一と、ボーカリストHinanoによるユニット・Widescreen Baroque。「時間や空間を自由に往来するSF映画のジャンル」を意味するユニット名にもある通り、“NO.5”は電子的なシンセサウンドと古典派音楽っぽい規則正しい動きをする弦の音色が融合し、時計の針が不規則に揺れ動き時空が歪んでいるかのような独特な浮遊感を感じる。ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」が「運命が扉を叩く音だ」と語られた逸話にインスピレーションを受けた今作は、冒頭のモチーフを何度も繰り返したり変化させながら曲が展開していたりと、クラシック音楽の要素が随所にちりばめられているが、原曲の切迫感のある雰囲気とは異なり、壮大で重厚ながらも優しく包み込むような響きを持ち、まるで霧がかった森を彷徨うかのような神秘的な空間が広がる。そんなクラシックの荘厳さと現代的なデジタルサウンドによるスケール感が融合し、現実と夢の境界線が溶け合う非日常へと繋がる扉に誘われるような一曲。(伊五澤紗花)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年10月号より)
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