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“現在を生きるのだ。”や“紫苑”や“怪物たちよ”に刻まれていた石原慎也の表現の深化。それが不可逆的なものでとても確信的なものであることを物語る作品に、この7作目のミニアルバムはなった。Saucy DogであることやSaucy Dogとして何を伝えるのかということと、石原という人間がどんな奴で何を思い、何を歌いたいと願っているのかということ、その天秤の上で音楽をやってきた何年間かを経て、今作での彼はさらに堂々と「俺がSaucy Dogだ」と言っている気がする。既発の楽曲はもちろん、“夢みるスーパーマン”と“そんだけ”という新曲が素晴らしい。どっちも本音が丸出しみたいな歌詞だし、“そんだけ”では《蛙化現象》というバズワードをさっそく取り込んでいくフットワークの軽さも頼もしい。で、よりいいなと思うのは、そうした石原の変化に呼応してバンドとしても風通しがよくなっているように思えるところ。いいことも大変なことも潜り抜け、Saucy Dogは一段と大きなバンドとして今最前線に立っている。(小川智宏)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年8月号より抜粋)
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