極まり続ける、独自の視点と普遍的ポップセンス

あいみょん『リズム64』
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日常にはたくさんの選択肢があふれている。別に「この決断が人生を左右する!」ほどのことでなくとも、昼に何食べようかとか、この原稿を今日書くか明日書くかとか――些細だったり自覚すらないものまで、僕らは膨大な選択を繰り返し今この瞬間を迎えている。“リズム64”は、そうやって「選ぶこと」を繰り返し、ときには選ばれず《犠牲》となった選択肢にも視線を送りながら「生きること」を綴った曲だ。「64」という数字はあいみょん自身の心拍数から取ったという、いわば彼女のリズムであり、ハラハラドキドキしたりしてマークする(BPM190みたいな)数値ではない、とてもゆったりとしたものである。歌声もまた、軽快で歯切れのいい周りの音とは対照的になだらかでたおやか。迷いながらも選び歩む日々を《胸のリズムが/大丈夫だって跳ねているから》と肯定するラインが沁みる。70だったり80だったり、一人ひとりがそれぞれのリズムを刻んでいればきっと大丈夫。ずっと携えておきたいお守りみたいな一曲だ。(風間大洋)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年4月号より抜粋)


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