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現編成になってからコンスタントなEP攻勢を繰り広げ、今春には日本武道館ワンマン(グループとしては2度目)も成功させた水曜日のカンパネラ。詩羽というチャーミングな才能とショート動画文化が絶妙に噛み合い、バイラルヒットを量産してゆく姿は痛快だ。最新EPとなる本作では、“聖徳太子”や“たまものまえ”など既発曲を含め全8曲にタイアップがついており、快進撃ぶりをそのまま体現する作風になった。しかし、水カンが描く「ポップ」とは当たり障りのない表現には成り得ない。キッチュな個性を突き詰め、そのうえで絶大な中毒性を振り撒く。世界基準の最新音楽フォーミュラとユーモラスなストーリーを緻密に組み上げてゆくケンモチヒデフミの作家性と、詩羽のキャラクターそのものから発せられるような歌声が、危うい実験を経て「ポップ」の成果を生み出してゆくのだ。《我々が/四天王って知ってんの?》という歌い出しとともにバレアリックな陶酔感へと引き摺り込む“四天王”の余韻がすごい。(小池宏和)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年8月号より抜粋)
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