去年2月にドラムの渡邊剣人(Dr)が加入し、現体制となって丸一年が経過した彼ら。冒頭からEP一曲目のポップソング“ちぎれるほど愛していいですか”からスタートし、会場の熱量を一気に上げていく3人。その勢いのまま数曲披露していき、ライブ開始数分でフロアーはthe paddlesらしい「愛」に満ち溢れた空間へと変化していった。私は渡邊の加入発表があったライブにも足を運んでいたし、その後も何公演か観てはいたものの、このツアーファイナルで彼の1年間の変化を強く感じた。それは、バンドメンバーとしての覚悟や自身だけでなく、目の前のお客さん一人ひとりにしっかりと自分の音を届けたいという前向きな姿勢、さらには演奏の余裕までもが伝わってきたからだ。
柄須賀もライブではいつも「俺の目を見てくれ」「一人ひとりに向けて音楽を届けている」「みんなの背中を無理に押すバンドじゃなくて、みんなの人生に寄り添い、節目を歌うバンドでいたい」と言っている。この姿勢こそがthe paddlesの大きな魅力であり、彼らの側で音楽を聴き続けたいと思える大きな要因だと思う。その柄須賀にも似た姿が渡邊の演奏からも感じたし、本ツアーから「MCの時の声がでかくなった」と柄須賀にいじられるくらいに、社会人バンドマンからバンドマン一筋へと転身した松嶋航大(B)が終始見せていた笑顔、客席に向かっての煽りからも私はワクワクさせられた。
柄須賀はMCでずっと「死ぬまで歌い続けるんだろうな」と言っていた。それは、長くバンドを続けてきたからこそ、リスナーの人生にthe paddlesの音楽があることを彼が知ったからだと話す。「ほんま、君たちの葬式には絶対呼んでくれよ」と投げかけたかと思えば「出演料はしっかりともらうけどな」と会場の笑いを取りつつも、この言葉にも本音であることがわかるのが柄須賀という人間の魅力だ。MCでは喋りすぎるほどにおしゃべりだけど、その分距離の近さを感じる。
長く語ってしまったが、そんなthe paddlesの魅力は楽曲だけではない。その人柄、ライブで味わえる「愛情」。そして、次もまた会おう!と思える距離感と信頼感が最高なのだ!
そのthe paddlesは、5月5日にJAPAN JAM 2026のBUZZ STAGEに出演する。さらに、8月5日には東京・Spotify O-WESTでワンマンライブ「人生の登場人物として」も決定したので、ぜひ、この機会に彼らのライブで「愛」を受け取ってみてほしい。
まだ、the paddlesをよく知らないという人は『結婚とかできないなら』のインタビューもお見逃しなく!(岩田知大)
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