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有名な話だが、「木漏れ日」という言葉は日本語にしか存在しない。生い茂る木の葉の間から漏れ入る日の光――という侘び寂びたっぷりなこの言葉をアーティスト名に冠したのが4MC&1DJによるオルタナティブヒップホップユニット・KOMOREBIだ。5月にリリースした“Giri Giri”が瞬く間にチャートを駆け上がり、TikTokの総再生回数20億回超えという破格のバズを記録。その存在感はもはや派手にスパークする閃光のようだが、“Giri Giri”がここまで広がったのはやはりこの曲に潜む「木漏れ日」的な感性への共感だと思う。閉塞的な社会で《ギリギリ毎日を》生きる僕ら。道を歩けば人にぶつかり、Tシャツにコーヒーをぶち撒けられる――でも相手がかわいい子だったからまあ《ギリhappy》じゃん、というゴキゲンなマインドセットの変更が、先の見えない時代と疲れ切った現代人の心に、儚くも美しい光を与える。ジャンルレスな音楽性でシーンの境界をしなやかに行き来する様も含め、彼らは令和の日本に揺らめく「KOMOREBI」なのだ。(畑雄介)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年10月号より抜粋)
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