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1年5ヶ月ぶりのアルバムで、森 大翔は驚異的な進化を遂げた。全14曲、人懐っこいメロディ・歌と壮大なアレンジを緻密に練り上げて、さらには深みある声もあいまって懐かしい匂いを立ち上がらせ、どんな場所で鳴っても存在感を示せるくらいの強度ある豊かなJ-POPを完成させている。しかも編曲やほぼすべての楽器演奏まで自分でやっているというのだから驚く。森といえば超絶技巧のギターにスポットライトがあたりがちだが、格別なソングライターでありマルチプレイヤーと呼ぶにふさわしい境地へと辿り着いたといっていいだろう。歌詞も抜群。1曲目では《I thank myself for all of me/よく誰かに言うみたいに“ありがとう”ってさ》と、「自己肯定感を上げよう」的な言い古された表現に代わる、自分を受け入れる術を提示。他の楽曲でも自身の心から出た言葉でありながらしっかりと世相を反映した歌を紡いでいて、音楽で世の中を少しでもいい方向へと動かそうとするポップアーティストとしての矜持を見ることができる。(矢島由佳子)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年12月号より)
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