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朗らかでオープンマインド。やみくもにポジティブなわけではないけれど、ちゃんと前を向いているし、関わる人たちの心と身体を解く温かさが真っ直ぐに伝わってくる。今作の全体像は、映秀。と会った時の印象とダイレクトに繋がっている。その最大の要因は、サウンド優位のこれまでの作り方を反転させ、彼の内面を反映した歌詞を優先させたこと。大変な出来事を何度も乗り越えてきた自身の軌跡を祝福する“涙のキセキ”、目の前にいる人とのかけがえのない時間を描いた“瞳に吸い込まれて”、大切な人との別れを受け止め《どの歌も君が溢れているよ》というフレーズへと昇華した“youme”。すべての曲に映秀。が息づいていて、こちら側に向かって「僕はこんな感じだけど、そっちはどう?」と話しかけられているような感覚に包まれるのだ。聴き手の一人ひとりに語りかけ、開放的な感情へと導いてくれるボーカリゼーションはもちろん、ソウルやジャズの要素をちりばめた、人懐こさと明るさをたっぷり含んだサウンドメイクも心地いい。(森朋之)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年3月号より)
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