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なぜAdoは自身で作詞作曲を手掛けた楽曲を発表し、実写MVを公開したのか。その理由は、承認欲求を満たすためではない。ビジュアルを褒めてほしい気持ちが出てきたとか、そんな浅はかなことでももちろんない。真実は、“ビバリウム”の中で語られている。Adoの人生を紡いだメロディと歌詞の中では、絶望や諦めが滲む悲痛な嘆きと、自身を奮い立たせる叫びが重なり合っている。2番では自己否定の声、深い傷となった誰かの声、過去の自分の声、かつての自分に語りかける声などが、左右を行き交いながら耳元で囁かれる。5周年やドームツアーを経た今、Adoがこの道を選んだのは、自身の命と結びついた魂の歌を歌うAdoであり続けたいから。そして「自分はダメな人間だ」という思い込みや「何もできない子だから」と周囲に言われる環境から、不可能を可能に変えることで自分を救ってきたAdoにとって、一度は逃げ出した作詞作曲や楽器を弾くことと向き合うことが次に必要なことだったのだろう。(矢島由佳子)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年5月号より)
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