アメリカの田舎からは、変わり映えのないカントリー・シンガーやヒッピーの継承者たるジャム・バンドたちに混じって、ときどき変な音が生まれてくる。ケンタッキー州出身の、このケイジ・ジ・エレファントがまさにそうだ。本国アメリカよりもUKで先に火がついたというストロークス・パターンで、UKでは昨年本アルバムをリリースしている。何しろ、ファンキー、セクシー、ブルージー、ヘヴィ、クレイジー……このバンドについて説明するにはあと20個くらい形容詞がいるし、フリートウッド・マックとクラッシュとレッチリとアークティック・モンキーズを接着合体させるようなバンドである。ジャンル・フリーでボーダレスな精神性はいまの世代のデフォルトだが、これはそういうものではない。自然に生まれてきたのではなく、あえて異物を作り出してみたというようなキナ臭さがあって、そこがこのバンドの面白さだ。そんな怪しい知性が、UKでウケた理由かもしれない。足腰の強そうなリズム隊、唸りを上げるツイン・ギター。そして飄々としたハスキー・ヴォイス。ルックスも含めすべてが過剰なまでにアッパーに自己主張している。(小川智宏)