片や直立不動でガスマスク、片やユニセックスなくねくねダンス――そんな両極端なソングライターの才能が拮抗する、凶暴かつエレガントな革新的エレクトロユニット、ソフト・バレエ。実は今年結成20年を迎えた電気グルーヴとほぼ同期であり、日本のメジャー・シーンにテクノ／ニューウェイヴを不法持ち込みした張本人でもある。湾岸戦争を受けて『愛と平和』という作品を出したり、9.11以前に堂々とアメリカを揶揄したり――毒気とユーモアを振りまきながら、マイノリティであることを恐れず、常に自由を求め続けたソフト・バレエは、当事誰よりも先鋭的でロックな存在だった。

そんな彼らのメジャーデビュー20周年記念BOX、11枚組！　95年解散までの151曲が全曲リマスタリングされ、未発表音源10曲とともに収録されている。オービタル、808State、LFO、キャバレー・ヴォルテール等リミキサー陣に歴史の重みを感じるし、アルファベット順というのも藤井麻輝監修らしいアカデミックさだな。と思いつつ聴いてびっくり。３人が紡ぎだしたぶっとんだ独自性は、時を超える普遍の力を持っていた。（井上貴子）