デビューから1年、ようやく到着したPeaky SALTのフルアルバム。凄く自由にやりたい放題、バンドを心から楽しめている爽快な作品に仕上がった。彼らの場合、ユウが小学生の頃から歌謡曲を好んで歌を志したというところが軸なので歌メロへのこだわりは欠かせない。形態はロックバンドだが歌詞がリアルかどうかは問題ではないし、CMに出演してアイドルっぽく見られたって構わない。ユウの両親が有名人であることでバンドの名前が売れたとしても、そのメリットもデメリットも全部マイペースに消化して、ただ「バンドで音を鳴らすことの喜び」をとことん響かせたのが今作。最早、「こう見られたい」とか、「どこにカテゴライズされたい」とか、そうした澱みが一切無いから聴いていて気持ちがいい。ミクスチャーでもカントリーでも貪欲に取り入れるサウンドへの遊び心と、時々「何言ってんの!?」ってツッコミたくなる大胆な歌詞も、思いついたまま形に出来る無邪気さや遠慮のなさが今のPeaky SALTの底力。ここにはそんな4人の熱気が充満しているのだ。こういうタイプのバンドはなかなかいない。(上野三樹)