《常識を持ちながら ぼくらはどこまで自由になれる?》/《楽しい方を選びながら ぼくらはどこまで幸せになれる》。という問いを投げかけるタイトル曲、“スペース ~拝啓、ジェリー・ガルシア~”ではじまる、3年半ぶりのソロ・アルバム。ホーン・セクションやパーカッションとのアンサンブルによる、ブルージィなサウンドにのせて説かれる彼の人生哲学は、シンプルで、淡々としていながらも心に沁みる。音楽という手段で説かれたものでなかったら、ひょっとしたら訓戒のひとつとして「わかった、わかった」と聞き流してしまったかもしれない。言葉は理解できても、その意味が心に響くまでには、たくさんの時間だったり、人生経験だったりが要るかもしれない。歌や音楽の素敵なところは、そのシンプルな言葉に韻律をつけて、感情やスピリットを丁寧に織り込んで、とてもライトに、しかし重厚に伝えることができることだ。何気なく流れてきたメロディや歌、ユーモラスでさえある節回しに、ガツンと衝撃を食らったり、パッと灯がつくように意味を理解して胸が熱くなる。そんなマジックを持つ作品。(吉羽さおり)