86年の結成から24年、ニューヨーク・ハードコア・シーンの代名詞となりながら常に現役で走り続けるシック・オブ・イット・オール。前作『デス・トゥ・タイランツ』のリリース後も世界中でツアーに明け暮れ、4年の時を経て9作目の新作がリリースされた。今作でも衰える気配すら感じられない猛烈な勢いで突っ走り、全曲3分以内でカタをつける潔さも健在、こうしてファンの期待を裏切らない新しい作品を作り続けているからこそ、彼らは「生きる伝説」と呼ばれるのだ。ここで聴ける音楽にいわゆる新しさはないかもしれないが、オールドスクールの良さを守り続け、自分達、そしてファンが愛してやまないスタイル(ボーカルのルー曰く「シンガロングできるオイ!ミュージックとモダン・ハードコアのミクスチャー」)を壊さずに刺激的なことをやり続けるのは簡単じゃない。それは同じことをできるバンドがほとんどいないという事実が証明している。歌詞には自らの経験に基づいた人生教訓が込められていたり、サウンドにもメンバーの真摯な姿勢にも、あらゆる意味で強い説得力があるバンドだ。まだまだ王位の座は譲れない。(網田有紀子)