2ヶ月連続リリースの第2弾。“いつか見た夢を”は、《いつか見た夢を正夢にしよう》というフレーズが冒頭を勢い良く飾るが、「そうありたいなあ！」と心から思える曲だ。夢を諦めたとしても、夢見たはずの過去の自分は現在の自分と地続きで生きているし、気持ちを切り替えればいつだって夢が叶うかもしれない未来へと繋がって行くことが出来る……そんな想いをこの曲は呼び起こす。燻ぶった心の曇りを吹き飛ばす圧倒的な輝度、清々しい風がこの曲には吹いている。聴いていると何だかとても嬉しくなる。

家路の途中の女性を描く2曲目“彼女は買い物の帰り道”は、曲調も内容もタイトル曲と全く異なるが、これも今日を生き、明日へと自分を繋いで行こうとする魂の強い脈動を感じる。本作の2曲は、何だかんだボヤキながらもどうにか生き続けている我々と自然に重なり合う。我々、市井人へのこういう鮮やかなシンクロ具合は、「生活感」「生活臭」という表現へ置き換えることが出来ると思うが、そこがエレカシの大きな醍醐味なのだなと改めて強く感じた。エレカシの音楽は本当に身近なのだ。（田中大）