歌で世界を変えるということ
Superfly『Eyes On Me』
2010年12月15日発売
2010年12月15日発売
SINGLE
ロック・サイド・オブ・Superflyが炸裂しまくっていた前作『Wildflower』に続いて届いたシングル曲は、それこそハープとピアノとストリングスが舞い踊るスタンダードなラブソングであり、時期柄「クリスマス・バラード王道ど真ん中の」というコピーがついてもおかしくない楽曲……なのだが。それこそ雪も溶けよとばかりに熱いヴァイブを放つ彼女のエヴァーグリーンな歌の前に、「冬+ラブソング=クリスマス」的な音楽マーケットの「慣習」はあっさり氷解する。というか、「最も人の温もりを感じる季節」に「最も人の温もりを歌ったバラードやラブソングを出す」というストレートな表現を「クリスマス商戦狙い?」とどこかニヒルに捉えてしまう風潮までも、今作の無防備で強靭な歌は解体しようとするかのように、ダイレクトに胸に響く。60年代サウンドだろうがJポップのフォーマットだろうが、鳴り響く場所すべてに覚醒を促す力が、彼女のボーカルには備わっている――という事実の証明のような1曲。カップリングにはライブでも披露されていた“Rescue Me”“プリマドンナ”を収録。(高橋智樹)