デビュー時より、類まれなメロディセンスと瑞々しい演奏を評価されてきた彼ら。この3枚目のシングルでは、そんな原石のような才能に加え、比喩を巧みに用いるストーリーテラーとしての側面も出てきているように見える。1曲目の“僕から君へ“では、「大人になれない子供達を乗せた汽車」という魅力的なモチーフを反復しながら、その場の空気の匂いや胸の鼓動まで伝わるようなフレーズを重ねていく。2曲目の“桃源郷”は混沌とした胸のうちを明かすロック色の強い内容だが、伸びやかなギターサウンドとともに走り出す中盤~後半部には、このバンドならではの透明感がある。
彼らが可能性を感じさせる理由は、なにも17歳~20歳という年齢のせいだけじゃない。七色のメロディを操りながら、リアルでありながらもドリーミーな世界を生み出してくれるはずだ。(神谷弘一)