昨年のサマソニ来日はキャンセルになってしまったが、ダンス・ミュージック界のミッキー・マウスことデッドマウスの日本デビュー・アルバムが届いた。内容としては、海外で昨年12月にリリースされたサード・アルバム『4×4＝12』に、ヒット・シングル“アイ・リメンバー”（カスケードとの共作）と“ゴースツ・アンド・スタッフ”（ペンデュラムのロブ･スワイアーをフィーチャー）を加えたものだ。これまで夥しい数のリリースをし、クラブ・シーンではすでに人気の確立された人だが、こうしてちゃんと日本に紹介されることになってよかった。というのも、彼の作るトラックというのは、どれもポップ・ミュージックとして余裕で通用する強度と分かりやすさをもったものばかりだからだ。プログレッシヴ・ハウス譲りのどっしりとダビーな4つ打ちキックと、エレクトロ譲りの開放的でエッジの立ったシンセ。そして歌モノ（アルバムの半分がそうだ）ではきっちりモダンなメロディを乗せている。ダンス・ミュージックもインディ化が進んで、こういうことをやる人が少なくなった。ダフト・パンクくらいのスケールに育ってほしい。（小川智宏）