回線よりも自由に歩く歌

エド・シーラン『プラス』
2012年01月18日発売
ALBUM
エド・シーラン プラス
現在二十歳だが、十代中盤からライヴ及び自主リリースを行い、日々ライヴに明け暮れるうちに自宅のアパートを引き払ってしまい住所不定、というタフなキャリアの持ち主でもあるUK生まれのシンガー・ソングライター、エド・シーラン。本作は彼のメジャー・デビューALである。ジャケット・アートワークは、挑戦的な表情を見せる海外盤のものとは異なっていて、ユーモラスな表情のカットが採用されている。アコースティックで柔らかい響きのギターに、繊細かつ美しいメロディの歌。加えて、ときには非常にテクニカルでクリスピーなラップ・ヴォーカルも披露するという彼のスタイルを、端的に説明するアートワークだ。
 
メインストリームの大物たちからも支持されているというだけあって、この若き苦労人の表現力は既に、鍛え込まれたスター性を宿している。メロディアスで情感豊かな歌とテクニカルなラップを自由に行き来するスタイルは、現代型ポップの高性能モデルだ。手本とするにせよ反面教師とするにせよ、今後のポップ・ミュージックはこういう実力と向き合っていかなければならない。そんな指標にもなり得る一枚。(小池宏和)
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