ここ最近は地下に潜り、様々なジャンルで活躍するクリエイターとのコラボレーションを通して、自らの内面に渦巻く思想・概念を具象化する作業を繰り返してきたPsysalia Psysalis Psyche。本作はその過程で産み落とされた楽曲が大部分を占める、約2年4ヶ月ぶりのフルアルバムである。荒々しいディストーション・サウンドの背後で呟かれるスポークン・ワードが、この世界の化けの皮を粛々とひっぺがしていく“21st Century Massacre”、トライバルなビートの上に妖しげなサイケデリアの膜を展開する“2.5D”、祭り囃子とブラーの“Song 2”のコーラスを融合させたジャンク感満載の新曲“My Dinosaur”と、獰猛なガレージ・ロックを基点に多様な方面へと振り切れていく、とらえどころのない音像。梶井基次郎、中原中也などの近現代文学から着想を得たと思われる、独特な歌詞の世界観。そして、それらを駆使してぶちまけられる強烈なデカダンスの陰から覗いている、頑なな自我を持ったフラジャイルな少年のうつろな目。集団に居場所を求めず、徹底的に個であることに拘る彼らの本質は恐らくそこだ。(前島耕)