満を持してのセルフタイトル・アルバムとなった、ザ・ラスマスの4年ぶりの新作。前作『ブラック・ローゼズ』ではデズモンド・チャイルドをプロデューサーに迎えて新境地を見せた彼らだが、今回は日本でもブレイクした代表作『デッド・レターズ』を手掛けたマーティン・ハンセンと再び組んで、原点回帰の際スタートとなった。ヴォーカルのラウリは昨年、ラスマスのスタイルに合わないと感じた曲を集めたというソロ・アルバムをリリースしていて、打ち込みを使ったポップ寄りのサウンドが新鮮だったが、今作の雰囲気はそれに通じている気がする。ヘヴィなギターが表に出た初期のサウンドに戻るというより、同じスピリットで現在のバンドを表現したらもっと大人なサウンドになったということかもしれない。哀愁を帯びたメロディ・ラインと、いい意味で洗練されすぎないサウンドの絶妙な融合は今でも健在だ。今年2月に東京で撮影されたという"アイム・ア・メス"のPVにも注目。モノトーンのスタイリッシュな仕上がりで、特に日本がフィーチャーされているわけではないけれど、サムライ姿(!?)のパウリが時々拝めます。(網田有紀子)