タイトルどおり全14のシングルを網羅した初ベスト盤で、うち5曲が全英No.1を記録。1stのロングラン・ヒット~2ndの成功以降、英国を代表するモンスター・バンドとなったカイザー・チーフスだけに、UKロック・ファンならシンガロングできる楽曲が軒並み揃った愉しい1枚だ。“オー・マイ・ゴッド”からこうして通して聴いてみると、意外なほどアウト・オブ・デート感がないのに驚いた。ひいき目で見てもどがつくほどにシンプルで、いつ飽きられても不思議ではなかった楽曲群に、時が経ってみると揺るぎない普遍性が備わっていた。売れない前身バンド時代に決心した「オーディエンスを喜ばせる」というマインドを貫き続けたことと、それによって支えられた、セールスの規模が大きくなってもけっして失うことのなかったDIY精神ゆえ、だろう。バンド・バブルに沸いた00年代後半のUKシーンを生き抜いた理由がここに刻まれている。再びスティーヴン・ストリートと組み、ヴェテラン・ロック・バンドの貫禄を見せる“オン・ザ・ラン”、リッチ・コスティの手腕が光る“リッスン・トゥ・ユア・ヘッド”、2つの新曲も収録。(羽鳥麻美)