今年のグラストンベリー・フェスティバルでは、英総選挙で与党保守党を過半数割れに追い込んだ野党労働党党首、ジェレミー・コービンが演説を行ったことが話題となっていた。
ジェレミー・コービン党首をグラストンベリーに招待した理由に関して、主催者のエミリー・イーヴィスは「適切なタイミングだったから」と語ったという。
コービン党首はメイン・ステージであるピラミッド・ステージで日中にスピーチを行ったが、エミリー・イーヴィスは英「NME」に対し、そのスピーチを聞くため観客が殺到した様子を以下のように説明している。
「すべてのステージからのすべての通り道が塞がってしまったくらい。(ピラミッド・ステージの)会場は人でぎゅうぎゅうになって、みんな動けなくなってた。
(ちょうど同じ時間帯には)アザー・ステージでもカイザー・チーフスのアクトの前に早々と会場が満杯になってしまったのが理由で、アザー・ステージでもスピーチを中継放送することにしたのよ。
なんとしてでもピラミッド・ステージに行きたいという人たちが多過ぎたから。でも、本当にすごい瞬間だったわよね? もう最高だった」
さらにエミリーは次のように続けている。
「政治的な立場の人をあのステージに登場させるなんてことはもうしばらくやってなかったけど、でも、今が適切なタイミングだったと思ったの。わたしたちのフェスティバルではずっと長い間、キャンペーンし続けてきたテーマがあるわけだから。
それに、もともとこのフェスティバルには政治やCND(英反核団体の核廃絶キャンペーン)との関わりもあるし。だから、今が本当にいいタイミングだと思えたのね。実際、ものすごく圧倒させられる瞬間だった。たくさんの人が感動したと言ってくれて。とても特別な出来事だったし、一度きりの記念になったわね」
また、エミリーの父親で、共同主催者のマイケル・イーヴィスは、「グラストンベリー・フリー・プレス」に対しコービン党首のスピーチについて以下のように語っている。
「私たちは、ジェレミー・コービンの選挙での結果に本当に喜んだんだ。何百万という若い人たちが、つまり、グラストンベリーに来るような若者たちがジェレミーに投票したんだよ。
ジェレミーからは、根本的な政治的意識と正義感が備わっている人物だというのが伝わってくるんだ。反戦や反核を軸にした本質的な政治改革を実現するための正義感だね。このフェスティバルで私たちが人生をかけて訴えてきたものも、そういうものなんだよ。
私たちはエミリーがまだ2歳だった頃から、ロンドンまで出かけては、ジェレミーが提示しているような数々の問題を解決するためのデモに参加してきたんだから」
そしてジェレミー・コービンはスピーチの中で、これまで自分の牧場を提供し、素晴らしいフェスティバルとメッセージを発し続けてきたマイケル・イーヴィスへの感謝を表明してから、政治がいかに身近なものかということを観客に語りかけた。