ナウいぜっ!
シザー・シスターズ『マジック・アワー』
2012年05月30日発売
2012年05月30日発売
ALBUM
華々しいデビューを飾り、セカンドでその方向性に悩み、サードで開き直ったと思われたシザー・シスターズだが、いやいや、開き直りとはこれ!と言わんばかりに、4枚目はセクシーでキッチュで、とにかく“ナウ”な一発。前作の開き直りとは、ある意味、原点回帰的なもので、それは内部崩壊しつつあるバンドを立て直すために必要であったわけだが、それにしてもスタートラインに再び立てたシザー・シスターズの暴走は目を見張るものがある。まず製作陣には、ボーイズ・ノイズ、カルヴィン・ハリス、ファレル・ウィリアムス、ディプロ、スチュワート・プライスなどの売れっ子プロデューサーたちの名前がずらりと並び、今をときめくアゼイリア・バンクスもまるめこんでいる。見ての通り、かなり“非ロック”な人脈であり、今作のサウンドはまさにそれを反映しているのだ。要する最先端のメインストリーム・ポップスを惜しみなく取り入れたパーティ・アルバム。バンドサウンドへのこだわりさえも取っ払っているから驚く。でも、それでいて核を失っていないのは、やはり前作でシザー・シスターズであることを再確認できたからだろう。(内田亮)