これは素晴らしい。文句なく最高傑作と言い切って差し支えない。2年ぶりの新作だが、5作目にしてこれほどまでに飛躍する(そういう成長の余地を残していた)なんて、誰が想像したろうか。基本的な音楽性にもちろん変化はないが、こぢんまりとまとまった脱力系ダンス・ポップという従来のイメージを払拭するような力強くマッシヴなファンクネスに圧倒される。もちろん彼ららしいフニャフニャの文化系なノリの良さは活かしつつ、ダンス・バンドとしての彼らのグルーヴを捉えきった録音がなにより素晴らしい。エンジニアのマーク・ラルフの功績は大だ。大音量で聴けばフロアを揺るがすボトムの強力さが体感できるし、小音量ではメロウでメロディアスな楽曲の繊細な良さが引き立つという巧みな音作りが素晴らしい。全曲今すぐにでも使いたくなるキラー・チューンが目白押し。80年代のエレクトロやニュー・ロマンティック、90年代のレイヴに通じる甘酸っぱい記憶を喚起しつつ、確実にテン年代以降のフロアを射程にとらえたホット・チップは、もしかしたら第2のブレイクを迎えようとしているのかもしれない。激必聴!(小野島大)