ボウイがいない10年──ロッキング・オン最新号編集後記

ボウイがいない10年──ロッキング・オン最新号編集後記
音楽の批評は内在的であるべきか外在的であるべきかなんて議論が一時SNSで盛り上がっていたが、音楽自体によって外在的批評性を行使しまくったのがデヴィッド・ボウイだ。ボウイは変化し続けたアーティストだと言われるが、それは常に変化する時代に対する批評行為として自らの音楽を位置づけていたからだ。切る肉の種類が変われば、使うナイフの種類も変えなくてはならない。フォーク➔グラムロック➔ソウル➔ポストパンク➔ポップ・・・と次々にスタイルを変えてきたのはそういうことだ。

そして、その時その時のボウイの音楽が自分に刺さるということは、その批評性に自分も呼応するということだ。その瞬間にその人に変化が起きる。そうやって、ボウイの音楽はリスナーを変化させ、そして時代を変化させてきた。批評性によって。つまり批評性とはそういうことなのだ。ボウイは最後の最後までそういうアーティストだった。

ボウイがいなくなってからの10年間というのは、リスナーの変化を促し、時代を批評する姿勢を見失いかけている10年間だと僕は感じている。誰もが自分のことだけを歌い、今の時代を体現するだけでじゅうぶん合格だと、そんな袋小路感を感じる。きっとボウイの真の後継者はどこかにいるのだ。それに呼応できる批評性を僕らが持たなければならない。(山崎洋一郎)

ロッキング・オン最新号はこちら
https://rockinon.com/blog/yamazaki/214754
山崎洋一郎の「総編集長日記」の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on