ザ・バースディはどんどん良くなっている。前作『ROKA』も名曲だったが、今度も本当に素晴らしい。先日の東京・渋谷クアトロ公演で初めて聴いたこの曲は、ここ最近、具体的に言うとギタリストがフジイケンジが加入して現在の体制になってからの、より開放的でフレンドリーな、いわば観客に共有されるザ・バースディを象徴している。生身の人間が発するパワーやエネルギー、飾らぬ自然な肉体がぶつかり合うことで発するインパクトや熱量。それがあの場にはあったし、それさえあればこざかしい企みや狡知や小手先の技術もいらないとするこの曲は、ザ・バースディによる人間賛歌であり、人間の過剰なエゴを捨て去ろうとするメッセージでもある。観客に唱和を促し、マイクを向けてメッセージを共有しようとするチバユウスケの姿は、いわば彼らが、他者を信じ、愛し、受け入れたことを示している。彼らは決して閉じていない。諦めていない。
　
だから今のザ・バースディの音は文句なく力強く、瑞々しく、そして美しい。7月18日にリリースが決定したアルバムが楽しみだ。（小野島　大）