アポカリプソ000年以降、アヴァランチーズからウルフマザー、バンブルビーズにカット・コピー、そして『rockin’on 2008年11月号』輸入盤レビューで紹介しているヴァン・シーまで、オーストラリアのユニークなロック/ダンス・アクトを次々と輩出してきたモジュラー・レコーズ。クラクソンズやニュー・ヤング・ポニー・クラブとディールを結んでいて、ニュー・レイヴの流れにのってUKでもクールなレーベルとしての評価を高めているが、ただ目新しい音だけを追求するのではなくて、どれもポップ・ミュージックとしてきちんと成立しているのが偉いし素晴らしいと思う。本作はそんなモジュラーの「らしさ」をよく体現したエレクトロ・デュオ、ザ・プリセッツの2nd。本国では初登場1位、ここ日本でも輸入盤が入ってきた当初からにわかに話題になっていた。ブリブリのシンセ・リフとドコドコドコ破壊的なビートにマッチョなボーカルが載り、淫靡で濃厚な雰囲気を醸し出す。というところまでは取り立てて新味はないのだが、やっぱりベタなくらい歌メロが立っていて、知らぬ間に口ずさんでしまうくらい中毒度は高い。カラオケで歌えるぞ、これ。(小川智宏)