なかなか出ないヴィンテージ感

ライヴァル・サンズ『ヘッド・ダウン』
2012年12月12日発売
ALBUM
ライヴァル・サンズ ヘッド・ダウン
2011年、アルバム『プレッシャー・アンド・タイム』でデビューし、同年のサマーソニックで来日を果たしたLA出身のライヴァル・サンズが2ndアルバムを完成。レッド・ツェッペリンやドアーズを引き合いに語られる、芳香をまとったロック・サウンドは健在。60、70年代ロックへの愛情をたっぷり搭載した、ぶっといファズ・サウンドに、ダイナミックな音のせめぎ合いや息づかいが聞こえるアンサンブルは、今作でさらにパワー・アップした。

馬力あるギター・リフで、イントロからリスナーをKOしていく“キープ・オン・スインギング”から、ストーンズ的な“ワイルド・アニマル”。また、どしゃめしゃに暴れ狂うギターに魔的なビートが絡むサウンドから、ポップでキャッチーな曲、サイケデリックな曲に、美しいインスト曲やバラードまで、これぞ王道ロック・アルバムという佇まい。アルバムの終曲となる“トゥルー”は、それまでの強力さとは打って変わって、重厚感と繊細さを持ち合わせたフォーキーなギター・サウンドと神聖でたおやかなメロディの曲で、味わい深い余韻で包む。この自在さも美味なバンドだ。(吉羽さおり)