一聴したぶんには王道で良質な楽曲の集まりと思える本作。だが、“トゥ・フィンガーズ”を聴いてみてほしい。「飲んで思い出す/吸って忘れる」。それは、酸いも甘いも噛み分けた大人の言葉というよりも、めいっぱい背伸びした、退屈な現実への「くたばれ」なのだと思う。ああ、10代ってそんなものだ(った)と、子供から大人までが、このセンチメンタルで肝の据った、醒めた歌声に心を突き動かされる日は遠くないはずだ。そして素晴らしいのは、このアルバムのどの曲にも、アートワークでこちらを見つめるジェイクの目つきの如く、未来はかすかに希望に満ちていると思わせるところなのだ。もはや絶望からの脱出は、がむしゃらなアンチテーゼやパンクでは実現しようがない。「くたばれ」サインも裏返せばVサインであるという凄まじい説得力は、早くもアデルの凄みをも感じさせる。 (羽鳥麻美)
まだ見ぬ景色を見ろ
ジェイク・バグ『ジェイク・バグ』
2013年01月16日発売
2013年01月16日発売
ALBUM
一聴したぶんには王道で良質な楽曲の集まりと思える本作。だが、“トゥ・フィンガーズ”を聴いてみてほしい。「飲んで思い出す/吸って忘れる」。それは、酸いも甘いも噛み分けた大人の言葉というよりも、めいっぱい背伸びした、退屈な現実への「くたばれ」なのだと思う。ああ、10代ってそんなものだ(った)と、子供から大人までが、このセンチメンタルで肝の据った、醒めた歌声に心を突き動かされる日は遠くないはずだ。そして素晴らしいのは、このアルバムのどの曲にも、アートワークでこちらを見つめるジェイクの目つきの如く、未来はかすかに希望に満ちていると思わせるところなのだ。もはや絶望からの脱出は、がむしゃらなアンチテーゼやパンクでは実現しようがない。「くたばれ」サインも裏返せばVサインであるという凄まじい説得力は、早くもアデルの凄みをも感じさせる。 (羽鳥麻美)