愛と別れと命を歌い続けた10年史

吉井和哉『18』
吉井和哉 18
本当に切なくて美しい曲ばかりだ。そして今を生きる私たちに大切なことを歌った曲ばかりなのだ。ソロキャリアの10年間を2枚に凝縮したベストアルバム。1stシングル “TALI”で始まり、11年発表の“FLOWER”で幕を閉じる。通して聴くと、 “TALI”の《“辛かった”“楽しかった”積もうね積もうね BABY I LOVE》というささやかな未来への約束と、“FLOWER”の《そう泣くことも そう笑うことも/小さいがたくましい花びらのよう/黙って揺れている》という優しい真実が、まっすぐ延長線上で繋がったようでハッとした。吉井和哉が10年間積み続けたもの、それは愛と別れに満ちた「毎日を生きる実感」そのものだろう。収録曲は、バンド時代では考えられないほど虚飾が無い裸の言葉で綴られた歌ばかり。01年の9.11と11年の3.11が吉井の音楽に多大な影響を与えているが、巨大な喪失と悲しみを経て、それでも生きる私たち(そして吉井自身)の生を祝福する新曲“HEARTS”と“血潮”は本当に素晴らしい。命の重みを孕みながらも、聴く者の心に光を射す、永久不滅の美しさを湛えた1枚だ。(福島夏子)
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