ボカロP、ソロプロジェクトのナノウ(ほえほえP)としても活動しているコヤマヒデカズのバンドLyu:Lyu。本作はニコニコ動画で凄まじいアクセス数を記録している“文学少年の憂鬱”など、既発曲の新録の他、新曲も多数収録している1stフルアルバム。ヒリヒリした空気感、エモーショナルな音像、歌われている感情の圧倒的な生々しさが、強く印象に残る1枚だ。様々な曲が映し出すものを端的に表現するならば、「“生きる”という一筋縄ではいかない課題との静かな格闘」とでも言うべきもの。世界は腐っているが、その一部分である自分自身も明らかに腐っていて汚らわしい……考え過ぎなければ深刻に悩まずに済むのだろうが、どうにもこうにも抱かずにはいられない苛立ち、不安、孤独を、今作は様々な形で執拗に抉る。「どうすればいいのか?」という明確な答えはないが、何かを懸命に見出そうとしている各曲の切実なトーンは、不思議と希望への手がかりのようなものを与えてくれる。決して「明るい」と呼べる内容ではないのだが、全篇を聴き終えた時の感覚はとても清々しい作品だ。(田中大)