青春の先を生きているバンド

THEラブ人間『SONGS』
2013年04月03日発売
ALBUM
THEラブ人間 SONGS
金田康平(歌手)による、極めてプライヴェートな視界とエモーションを表出させるための装置として機能してきたバンドがTHEラブ人間であり、その構造は今後も変わらないと思うのだが、それだけではこのセカンド・アルバムへと至るバンドの進化を説明することができない。オープニングの“ラブパレードはつづく”では《ぼく 今夜 家には帰らない》という個人的な思いを、ヴァイオリン、キーボード含めて束になって押し寄せるメロディが意志の奔流と化して支えている。個人の歌なのにバンドの進化を受け止めさせるのは、過去の感情を密封保存するのではなく、今そして未来へと向けられた生々しい思いがアルバム全編を貫いているからではないか。金髪になった金田の姿は、意図的なネクスト・ステップを象徴している気がする。

というわけで、語り部としての金田と表現装置としてのバンドががっちりと手を取り合う佳曲揃いのアルバムなのだが、終盤の“病院”、そして既にライヴのハイライトとなっている一曲“体は冷たく、心臓は燃えている”のクライマックスは真に圧巻の一語に尽きる。(小池宏和)
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