既にライヴや2作のミニ・アルバムを始めとする活躍で話題を呼んでいた3ピース・バンド=The Flickersによる、待望のフル・アルバム。鋭利なロック・サウンドと情感溢れるエレクトロのダンス性を併せ持つバンドで、これまでは荒々しさ/雄々しさのカッコ良さというよりも、全力で泣きじゃくっているような青く感情だだ漏れの歌心が不思議な魅力として発揮されていた。活動の中で本作へと至るスタイルの構築もじっくりと練り上げられていたのだろう、ファーストにしてマスターピースと呼ぶべき、統制が効いたソング・ライティングと深い奥行きを備えた素晴らしいアルバムだ。
これまでのミニ・アルバムや『Fl!ck EP』から持ち込まれた楽曲もあるが、秀逸なメロディで青春の情景を切り取ってみせる“自転車に乗って”や、実験的なサウンドにヴォイス・パーカッションが弾ける“noiz me”、トリッキーなギター・リフで転がすさまが痛快な“fight club”と、初出曲もバラエティ豊かでクオリティが高い。エネルギッシュなサウンドと、歌心の折り合いの付け方に格段の進化が受け止められる。(小池宏和)