Tシャツとジーンズに戻って

ジミー・イート・ワールド『ダメージ』
2013年06月26日発売
ALBUM
ジミー・イート・ワールド ダメージ
00年代以降のUSエモ/パンクのメインストリーム化に少なからぬ貢献を果たしたバンドの中でもジミー・イート・ワールドはヴェテランの部類に入る。しかしグリーン・デイがいまだ「道化」であるのを求められるように、このジャンル――まっすぐな苛立ちや恋愛の挫折といった若い感性の昇華が音楽的な発火点であるケースが多いゆえに――は優雅に歳をとるのが難しい。

その自覚は前々作から漂っていて、成長のトライアルとしてフー・ファイターズ系のタフ&ビッグなオルタナや泣きメロを軸とするポップな実験など様々な方向へ彼らは手を伸ばしていった。実はそれだけ振れ幅が広い連中なので仕方ないとはいえ、結果として器用貧乏に響くことにも。ゆえにやきもきもしたけれど、レーベル移籍第1弾にしてプロデュースにアラン・ヨハネス(クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ他)を迎えた本8thは吹っ切れ原点回帰作だ。4年前に行った『クラリティ』10周年ツアーが影響したのだろう、歌のクオリティとタイトなアンサンブルに焦点が絞られているのはもちろん、ここ数年のハイパーなクリアさよりあたたかみとバランスを重視した音もいい。「エモ・キッズの頼れる兄貴」、いい帰還です。 (坂本麻里子)
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