74年リリース、4枚目。イーノ脱退後、バンドとしての求心力を高めていったロキシーの「肉体性」を最も強く感じさせる一枚。彼ら特有の妖艶さや退廃感を漂わせつつ、サウンドからは野性的といっていいほどダイレクトな「ロック」のカタルシスが感じられる。前作『ストランデッド』から参加したエディ・ジョブソンがキーボード(シンセ&生ピアノ)とヴァイオリンでイーノに劣らぬ貢献を見せ、独特のコード感をもつロキシー・サウンドに、スタイリッシュな高級感を加えているのも聴きどころ。
40年近く経った今聴くと、改めて凄いカルト・アルバムだと実感するばかりだが、その後、フェリーのヴォーカルがどんどん洗練され「涅槃化」していくのを知っている者としては、ここでの彼がまだまだ若々しい青さを発散していることにも驚く。79年のジャパンの『クワイエット・ライフ』など、モロこの作品に影響を受けたニュー・ロマンティック・アルバムだった(当時は子供だったのでジャパンがオリジナルだと思っていた)。ちなみにジャケット右の黒下着の美女は性転換した元男性というエピソードは有名。 (小田島久恵)
馥郁たるアイロニー
ロキシー・ミュージック『カントリー・ライフ』
2013年07月31日発売
2013年07月31日発売
ALBUM