ベスト盤こそあったが、オリジナルアルバムは『B.A.N.D.』以来、3年8カ月ぶり! さらに、1st以来のカクバリズムからのリリースであり、活動15周年であるという、様々な節目のもとに完成したニューアルバム。聴き始めた時こそムムム!?と思ったのだが、だんだん、ああこれこそYOUR SONG IS GOODだったなあと納得した。スカやカリプソなどを取り入れた、明るく開放的な音楽性が馴染み深くなってから、さらにルーツを生かしてロック化したり、歌モノのアンセムも増えてきたりと、人懐っこさを極めたYOUR SONG IS GOOD。しかし、彼らはそもそも、音楽好きであり、実験好きで、まっしぐらなタイプのバンドなのである。今作は、そんな己に立ち帰るように、全曲がインストでストイックな印象で、長尺の曲も目立つ。生々しいというよりはクールな仕上がりだ。また、サポートメンバーのパーカッション、松井泉(ex.bonobos)の存在も大きいのだろう。メロディよりリズムが際立っており、歌うより踊れるアルバムと言える。もちろん華やかさやキャッチーさは失われていないが、こんな等身大なYOUR SONG IS GOODは新鮮だし、新章の予感がする。(高橋美穂)