そもそもplentyが、楽曲の再構築を行う、という話だけでかなり意外であった。彼らの楽曲というのは、歌詞とメロディ、アレンジとアンサンブル、音色や音価に至るまで、潔癖かつ完璧主義的なまでに練り込また上で発表されるものだったからだ。ライヴの場ではそれが限界ギリギリで再現され、大きなサイズの会場でさえ、ときにオーディエンスは息を呑むほど静まり返る。現場でそういう作法がアナウンスされているわけでもないのに、楽曲が、音が、オーディエンスの集中力を引き出してしまうのだ。ときどき江沼が「静かだなあ……」とぼやくことがあるが、何を言ってるんだ当たり前だろう、と思ってしまう。
でも本作に触れて、再構築の意味が一発で分かった。ストリングスやピアノを加えたリアレンジは、外部とのコミュニケーションによって変化する自分自身を体現している。「音が重ねられる」だけではダメなのだ。人と関わるということは、自分が変わるということなのだ。恥ずかしながら、2曲目の“普通の生活”で泣いてしまった。12月末、東京グローブ座でのライヴも必見である。(小池宏和)
変えさせないが、変わる音
plenty『re(construction)』
2013年12月04日発売
2013年12月04日発売
ALBUM