”虹”っていう曲を素直に受け入れてくれる人がこんなにいて会場が揺れてるってことは、やっぱそれが正解なんだろうな(大介)
―― Aqua TimezがAqua Timezをわかっていく、受け入れていく過程において一番重要だった曲ってなんだったと思いますか?
太志 やっぱり“虹”かな。今はテレビ離れって言われてるけど、その当時はまだ視聴率が30パーセント弱あって、そんなドラマの主題歌をやらせてもらったから。世代問わず、幼稚園の子にも、おじいちゃんおばあちゃんにも届くような曲っていうオーダーがあって。それは、俺らが葛藤してきたものに対してはリスクを冒すことになるけど、やるしかないって思ったし。その時は「四つ打ちって恥ずかしいね」とか言ってたんだけど、楽しいっていう感じもあったし、これはこれでいいんじゃないかって。そこから気持ちがちょっとマイルドになっていったような気はするんですよね。
TASSHI 確かにね。たとえば、2ndアルバムの『ダレカの地上絵』でも、自分たちはロックなんだ、ミクスチャーなんだ、みたいな曲をメインでやってたりして、間奏も凝ったり、音色を詰めるだけ詰めてとか、凝るだけ凝って、それをリリースしたんですけど、世間の評価がまったく変わらなかったんですよね。バンド内ではまだミクスチャーバンドでありたい、ロックバンドでありたいみたいな中で、でも“虹”っていう大きなタイアップのお話をいただいて、結果この曲がバーッて広まっていったことが、受け入れの歴史の最初の1ページが始まった瞬間だったのかもしれないですね。
大介 今でも覚えてるんですけど、“虹”の時はスタジオですげえ悩んだんですよ。尖りたいっていう部分もあったし。でも、それを受け入れて、ライヴで演奏した時に、客の反応がやっぱりすべてなんだなって思ったんですよね。エゴイズムというか、自分の表現したいものをやって乗らないことよりも、“虹”を素直に受け入れてくれる人がこんなにいて会場が揺れてるってことは、やっぱりそれが正解なんだろうなって思ったし。いまだに“虹”っていう曲には正直助けられてるから。あの時、もし“虹”っていう曲を作れてなかったらどうなってたのかなとか想像するとすごく怖いし。だからほんとターニングポイントだったんだろうなって思うんですよね。
太志 でも結局、生きざまが出ますよね。そういうふうに生きてるから、そういう曲になったし。アイドルにももちろんなれないし、ロックンロールにもなりたくてもなれないし、でもAqua Timezでいることはできるからっていうのが強みなのかなって自分たちで思えるようになったことは、ファンがすごく喜んでくれることなのかなって。「やっと自分たちを好きになってくれたね」ってファンが言ってくれるのかなって。「もとから私たちは好きだから」って。ちょっと時間かけてごめんねっていうところはあるけどね(笑)。そういう、僕らにとっては意味深い葛藤だったから。今はすごくすがすがしい、前向きな諦めですよね。
―― 素晴らしいですね。
太志 ファンの子が喜んでくれてる理由もまたヒントになったなあ。詰め込んできたのは正解だったんだっていう。
―― そもそもですが、なぜこんなに肯定し続けてきたんですか?
太志 うーん、自分自身、しっかりとした答えが欲しかったし。それこそニヒルになっていじけて何もせずっていうわけにもいかなかったから、暮らしていく中で必要なものってやっぱり前向きな言葉だったし、前向きさ以外はあまり必要ではない――飾りとして悲しみを入れることはあっても、やっぱり最終的には肯定しないと。自分がそうされたいっていうのもきっとあるんだと思うんですよね。1回受け入れてもらえないとその人の話も聞けないし、その意味で、まずは目の前にいる人を肯定する。し尽くすというか。たとえば、誰かにされた解釈が間違ってたとしても、その解釈で自分たちが傷ついたとしても、それは事実なんだからもうそれはそれでいいと。でも「ここから解釈を変えていこう」っていう新しい提案をする前には、絶対に一度肯定しないと。「おまえ違うから」っていうふうにはなれなかったですね。
―― 赤裸々な話を聞かせてもらいました。ありがとうございました。
太志 確かに。他では話せないことでしたね。ありがとうございました。
ミュージックビデオ
リリース情報
『10th Anniversary Best「RED」』
2015年8月25日(火)発売
- 通常盤(CD)
- ¥2,500(税込)ESCL-4511
- 初回生産限定盤(CD+DVD)
- ¥3,500(税込)ESCL-4509~10
- team AQUA限定盤(2CD+DVD)
- ¥4,500(税込)ESC8-9~11 トールケース仕様
- 01. 等身大のラブソング
- 02. 決意の朝に
- 03. しおり
- 04. 小さな掌
- 05. 虹
- 06. 夏のかけら
- 07. プルメリア~花唄~
- 08. 絵はがきの春
- 09. つぼみ
- 10. ヒナユメ
- 11. 生きて
- 12. さくら道
- 13. ねがお
- 14. because you are you
- 15. ゴールドメダル
『10th Anniversary Best「BLUE」』
2015年8月25日(火)発売
- 通常盤(CD)
- ¥2,500(税込)ESCL-4514
- 初回生産限定盤(CD+DVD)
- ¥3,500(税込)ESCL-45012〜13
- team AQUA限定盤(2CD+DVD)
- ¥4,500(税込)ESC8-12~14 トールケース仕様
- 01. 千の夜をこえて
- 02. ALONES
- 03. Velonica
- 04. STAY GOLD
- 05. GRAVITY Ø
- 06. 真夜中のオーケストラ
- 07. MASK
- 08. エデン
- 09. 手紙返信
- 10. シンガロング
- 11. 最後までⅡ
- 12. 濃霧のち
- 13. メメント・モリ
- 14. LOST PARADE
- 15. イヴの結論
『最後までⅡ』
発売中 ¥1,258+税
ESCL-4497
- 01. 最後までⅡ
- 02. ラズベリージャム
- 03. 最後までⅡ(Instrumental)
提供:ソニー・ミュージックレーベルズ
企画・制作:RO69編集部