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いいアルバムができたなって思うけど、人生のなかでこれが最強のアルバムなのかなっていったら、もっと行けるんじゃないかって思っちゃう
──“スターマイン”っていう曲も、今回はすごく個性が強いよね。ライヴでも、LUNKHEADのライヴがちょっと変わったなっていうくらいのインパクトがあったし。歌詞そのものはセンチメンタルなんだけど、ここでアゲていくグルーヴにギアを入れたのは、どうしてだったの?
山下 なんか突き抜けたものつくろうぜみたいな。ここまでやっちゃう?みたいな感じだったと思うんです、曲は。夏だったし。それでジャパン(ROCK IN JAPAN FESTIVAL)とかでやれたらいいねって言ってたんですよ。だからこれだけ結構、曲調的にガコンって浮いてるとこがあって。

──そうだね。でも今のライヴハウスシーンの盛り上がり感と、すごくつながってる曲じゃん。
小高 これはこれでね、KEYTALKを意識してましたね(笑)。
──ああ、そういう刺激なんだ、やっぱり。
山下 だけどこれ、アルバムに入るとまた違う感じに聞こえるっていうのが不思議で。改めて、すげえいいなと思って。
──そうだね。歌詞とメロディは、ちゃんと小高ワールドじゃん。
小高 そうですね。これがいちばん初期っぽい感じっすね。なぜか。
山下 確かに『地図』っぽいところがあるよね。 “千川通りは夕風だった”っていう曲があるんですけど――。
小高 それの10年分進化したヴァージョン。やっぱり歌詞は切ない感じ。最初は派手なアルバムにしたいなと思ってたんで、アゲアゲな曲ばっかりができてったんですよね。ミディアムとかスローな曲が全然できなくて、どうしようかなって秋くらいまで思ってました。そう言ってたら“うちにかえろう”ができたからね。
──それが、最終的にすごくLUNKHEAD的なバランスになったよね。“誰か教えて”とか“懺悔室”みたいなエグみもやっぱり入ってくるんだなっていう気もするし。
小高 “誰か教えて”は裏番長的なところあるよね。全体的には前向いてるアルバムなんですけど。“誰か教えて”っていうのがフックになってるなっていうのが自分でも思います。好きですね、自分で。
──これが入ることで、人間・小高芳太朗のちゃんと全部が入ったなって感じするじゃない。
小高 全部入ったなって感じしますね。まあ“懺悔室”は歌詞はギャグなんですけど(笑)、すごいかっこいいリフを思いついちゃったから、こういうのがあると新鮮だなっていうところで、みんなでどうしようかねって感じでしたけど、音的にも目新しさができたかなっていう感じがします。
──で、すごくいいアルバムができたと思うんですけど、これがフルアルバム10枚目で、実際同世代のバンドを見ても、立ち止まってしまったりとか、続けていけてないバンドとかもいっぱいいるわけですよ。ランクヘッドもいろんな局面を迎えつつも、やっぱり続けていけているのは、なぜなんでしょうか。
小高 それはよく考えるんですけど、やっぱり、もっといいのがつくれると思ってるんですよね、たぶん全員が。いいアルバムできたなって思うんですけど、じゃあ俺の人生のなかでこれがいちばん最強のアルバムなのかなといったら、いや、もっと行けんじゃないかなって思っちゃうんですよ。それがなくならないうちは、たぶんやるんじゃないですかね。
──なるほどね。ふたりはどうですか?
合田 不思議なバンドだなと思うんですよ、客観的に見て。なんか全部がダメな時はないというか、どこかダメな時があっても、どっかに光があったりするんですよ。だから、あ、まだ俺たち行けるかもねっていうのがずっと続いてる感じがあるんです。
山下 作品で満足することがないっていうのは確かにそうですね、個人的にも。それに今の状況っていうのを入れるとしたら、やっぱり運があるなって思ってて、それを最近噛みしめるんですよ。去年、10周年でいろいろイベントとかもやったりして、ファンもそれについてきてくれて。バンドを続けられなくなって止まるっていう事情も、やっぱり他を見てたら、ほんとにわかるし。でも俺らはほんとに恵まれてて、その分やんなきゃなって、すごい思うようになりましたね。
小高 うん。それもあるし、あと、もっと行けるっていうのは音楽もそうだけど、バンドとしてもっと成功したいんですよね。売れたい(笑)。
山下 いつも言ってます。
──いや、そこは大事だよね、やっぱ。

小高 勝ったなって思いたい。っていうのがやっぱり一番ですかね。なんかね、すべてに腹が立つんですよ、世の中に。なんでこいつらわかんねえんだろ、みたいな。そういういろんなことが悔しくて、それはすごい自分のなかでモチベーションになってますね。売れるって、ファッションになることだなって思ったんですよ、最近。だから、ファッション感覚で聴かれるくらいじゃないと、売れたって言われないんだなと思って。周り見ててもやっぱり勢いあるバンドって、ある程度ファッションとして聴かれてるから、そこで俺らはやっぱり今までファッションになれなかったんだなって。その代わり、すごい好いてくれる子たちが残ったんだなって。そういう子たちもちゃんと引き連れて、売れたいんです。
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