自分たちの将来的な活動とか、どうやってやっていこうとか、必死に考えて反動でできたような感じ（YUKA）　

――譜面上で、これはきれいなメロディだね、というより、口に出してみて、「あ、これ気持ちいいね」っていう。そういうものじゃないと信用できなかったというか。

YUKAうんうんうん。絶対そうですね。それをずっと探してたような気がします。このアルバム自体も、自分たちの将来的な活動をどうするんだとか、そういうアイディアを必死に考えて、脳みそがねじれそうになったあとにプルン！って楽しい方向に戻ってきた、みたいな（笑）。そういう反動でできたような感じがしてるんですよね。

MASAKIだから、きれいなテイストの曲は入れなかったですね、今回は。

YUKA入れなかったね。肉体的に実感できることが余韻としてすごい残ってたんでしょうね。で、そうやって選んでいったんだなあ、ひとつひとつ。

――そういう意味で、最も等身大なアルバムなんじゃないですか。

YUKAうんうん。今までふたりとも、それぞれの決めごととかエゴがすごく強かったと思うし。だけど、かなり歩み寄って。今回は、どれだけ私は近づけるんだろうということを考えてた気がするんですよね。これまでは、「はい、こっからここはそっちの陣地ね」みたいなことで分かれてたんだけど、長く活動していく中でその分け目がなくなったのかな。

――なるほど。

YUKA意見交換も行っていたし。「面白いね」っていうことを全力で「面白いね」って思えたり。今までだったらそこまでやらなかったことをやるようになったっていうのは、野菜を自分たちで育てたうえで料理を作り始めるみたいな感覚にちょっと似てる気がする。そこのスーパーで買ってきた野菜で料理して美味しいでしょ？っていうことではなくて（笑）、土から耕してみようかって。この土がいいかどうかはわかんないぞ、知らんぞ、みたいな。ここに植物が育つか知らないけどやってみようみたいな。そんな感じだった気がするんです。

――だから、このアルバムって完成してるのかな？っていう感じですよね。CDになってるけど（笑）。

YUKA（笑）。

MASAKIできてみたらポップな曲が多くなりましたね。ポップというか、わかりやすい。不思議だね。わかりやすくしようとか、ポップにしようっていう意識はまったくなかったんだけどね。

YUKAそうだね。もうほんとに自由すぎて。だから、「この曲、歌いらないんじゃない？」っていう発想なんて普通出てこないんですけど、それもありじゃない？って言い出してみたり。いろんなことが私の中でも折り合いがついたんですよね。たとえばミックスの時もそうで。歌がちゃんと前に出てなきゃいけないってこれまでは思ってましたけど、すべての調和がとれていて、音の塊としてかっこよくなるにはどうしたらいいのかっていう。混ざることが大事だと思ったので。だからデモの時の「ハッ！」「ドキン！」っていう感じと、完成形がほぼ一緒なんですよ。

――だからまとめる作業じゃないですよね。むしろ凸凹を残したまま届ける作業っていう。

MASAKI・YUKA（笑）。

――確かにこのジャガイモはこういう形ですけど、でもすごく美味しいから、っていう（笑）。

MASAKI次どうしようってなるね、こんな話をしてると。

YUKAうーん、わかんない（笑）。

――でも、少なくとも一回リセットできてるわけだから。いいじゃないですか（笑）。

YUKAでも、そのモードにあると思います、今。音の光り方が今までと違う。『LOVE before we DIE』のあとはどうするんですか？って言われたら、もうわかりませんって思ってたけど。必死に向き合って作った結果、こういう作品ができて。そのあとに待ってたものは、「ああ、自由だったんだ、自分たちは」っていう。最後に壁を崩したらすごい広かった、みたいな。

――そんなアルバムを『It’s Our Time』と名付けたおふたりはエライ！

YUKA・MASAKIはははははは。

――それ以外ない。それかセルフタイトルしかないですよ。

YUKAそうですよね、私、『moumoon』かなとも思ってたんです。でも、もう『moumoon』は出してるから（笑）。どうしようかって結構話したよね。

MASAKIそうだね。確かに、これがmoumoonだっていう感じだもんね。