20年選手・PANが語るバンドの現在地とは? 最新作『具GOODグー』に迫る(2)
幼なじみでやれていることはありがたいことやなと思います。ライブの、喋りも含めた雰囲気作りって、メンバーの関係性が出ますからね
──次の“カマす犬”は、噛ませ犬ではなくこちらからカマすんだという気持ちが込められていますが、それを反骨心剥き出しのパンクではなくユーモラスに表現しているからこそ明るく聴けます。
川さん スピリッツとしてはチャレンジャーだと思ってますし、ひとつのライブでも対バンの中で一番になりたいという気持ちがあるので。自分はいつも何かを巻き起こしていきたい、そういう気持ちを元に作りました。利用されてるだけで収まりたくない。そう思う人は多いんちゃうかなと。でもそれをストレートに言うと野暮ったいけど、こういう言い方ができるのは日本語の良いところだと思います。取っつきやすいけど、ホンマはこういう意味なんやでというところまで届けばいいですね。自分でも「お、ええ歌詞書けたな」という感じです。
──この曲はギターのリフから始まりスカっぽい刻みが加わりますが、パッとできたんですか?
ゴッチ リフはダイスケが持ってきたんです。それに肉付けしていったんですけど、裏を強調したサイドギターは最初から聴こえていたので絶対入れようと。
──“短い夏休み”はこどもの歌ですけど、実は大人の歌でもありますよね?
川さん こどもの頃の夏休みって、1ヶ月半あっても「もう終わってしまうの?」って短く感じるじゃないですか。今30歳を超えて1ヶ月半休みがあることはなかなかないけど、2、3日だったらある。こどもの頃って夢中で遊んでいたからこそ短く感じたわけで、今の僕らでもあのテンションで遊べば、それは夏休みと呼んでもいいんじゃないかなと。大人になったからって夏休みがないわけじゃないやんっていう。極端な話、休みじゃなくてライブの数時間だけでもいいんです。
──本当にライブへ来てくれる人へ向けた曲なわけですね。
川さん そうですね。やっぱりライブってちょっと先のイベントだと思うんですよ。来週あのライブへ行ける、誰と行こう、終演後何しようみたいな。短い時間でも、夢中になれたら夏休みと呼んでもええやんって。
──それこそ夏休みがあったこどもの頃から音楽好きだったんですか?
川さん 小学校の時はまさにB’zが好きでした。
ゴッチ あとは嘉門達夫さんの替え歌とかね。幼なじみなので聴いてたものが一緒なんです。
川さん カセットデッキにラジオ番組を録音して遊んでましたね。
──楽器を始めたのはいつ頃でした?
ゴッチ 高校生になってからです。でも小学生の頃から木琴でもハーモニカでも何でも好きでした。
川さん 木琴から出てくんねや(笑)。
ゴッチ あの音がすごい好きやったから。ギターは中学生の時に、歌番組のバックで弾いてはる人がカッコ良く見えて、あれ弾いてみたいと思ったことがきっかけですね。高校生でバンドを組むってなった時に「ギターやりたい」って言って。フォークソング部しかなかったのでフォークギターでしたけど(笑)。
川さん ギターを選んだ理由初めて聞いたわ。僕らホンマ誰も楽器ができない状態で集まって、バンドって言い始めたところから21年ですからね。
──21年経って、ゴッチさんのことをギタリストとしてどう評価していますか?
川さん だからこそワウを踏み始めた時は「こいつが!?」って(笑)。
ゴッチ やっとギタリストになれました(笑)。
川さん その一歩を踏み出したところにちょうどワウがあったみたいな(笑)。でも幼なじみでやれていることは、今になって考えるとありがたいことやなと思います。ライブって雰囲気が大事やと思っていて。演奏は練習とかである程度できるものかなと思いますけど、喋りも含めた雰囲気作りって、メンバーの関係性が出ますからね。
──では逆に川さんに対してはどう思っていますか?
ゴッチ ボーカリストってバンドの顔じゃないですか。で、物事の中心にいるやつは誰やってなった時に、僕らの中では川さんやろうというのはあります。たぶんエンターテイナーなんですよね。おもしろいことをしたがっているのが伝わってきます。
──メンバーに対してそういったある種の尊敬があるからここまで続いたのかもしれませんね。
ゴッチ やっぱりちょっとしたリスペクトがないと続かないと思います。バンドって絶妙なバランスでできていると思うので、仲良いだけじゃダメだけど、人間性も大事。そういう意味でPANは今良い状態だし、そういう時ってライブも自然と良くなるんです。だから今、無敵ですね。
──でも2010年に前ドラマー(ハジオ)が抜けた時、ゴッチさんはバンドを続けることに葛藤があったそうですね。
ゴッチ 結成当初は正直遊びで、楽しいだけで終わってたんですけど、いざCDを出してツアーを回るってなった時にそのドラマーが入って。いろんな土地へ行って悔しい想いも楽しい想いも共有して、人間としてより深くつながっていった。だからそいつが辞めるってなった時、果たして自分がこの先やれるのかという疑問が出てきて。でも今振り返ると、あの時止まらんで良かったなと思えるんです。
満足はできないですね。やってないことや行けてない場所というのはいっぱいあって。今やからこそ歌える歌もあると思いますね
──“ムキョカ”はメロコアっぽさがありつつグルーヴもありますね。
川さん 勢い的には一番ありますね。歌詞は最後にできたんですけど、この勢いに乗せて何を歌おうかと思った時、バンドを始めた頃の気持ちが蘇ってきたんです。時代が変わっていろんなことが規制されたりするけど、そこまで抑えられたくないよっていう。ライブでこのテンションで歌えたら気持ち良いやろうなと思いますね。
──特に一行目の《なに不自由なくずっと生きていたいから》という歌詞は、政治から日常生活まで幅広く当てはまる気がします。
川さん それを求める気持ちは嘘じゃないし、この曲は一番表現がストレートかもしれないですね。
──ゴッチさんはこの曲にどうアプローチしました?
ゴッチ もともとハネるような楽しい雰囲気が出ていたので、それをさらに押し出したいと思いました。特にサビは歌とぶつかってもええわぐらいの勢いでやったらハマりましたね。ギターソロはペンタトニック調なんですけど、その前をメジャー感のある明るいフレーズにしたところが僕の中のポイントです。
──ギャップを作ったことでソロがより映えるわけですね。最後の“アフレダス生命”は、PANというバンドが凝縮されていますよね。特に《エンターテイナー 創り出す繰り出す/エンヤーコラー/新しいモノ創りたい 新しいワザ繰り出したい》という歌詞などまさに。
川さん そこは間違いないですね。僕らはバンドマンでありながらMCも演出も含めてライブをやっていくので、エンターテイナーである自覚はあります。それに今までやってきたことをなぞるのではなく、新しいニュアンスを加えたい。影響されてきたものに自分らのオリジナリティを足すことでPANらしさを出したい。この曲を聴いた時に今までにない曲調やと思ったし、こういう音楽を自分らがやるのもええなって。
──21年目ですが、まだまだ満足せずに突き進んでいくわけですね?
川さん 満足はできないですね。やってないことや行けてない場所というのはいっぱいあって。それこそ、「MASTER COLISEUM」というイベントを毎年やってるんですけど、それは夏フェスに呼ばれへんから自分らで作ろうというのがきっかけなんです。もう10年間続けていて、その間夏フェスに呼ばれることはほぼなかったけど、最近は増えてきた。20年そういう場所に出てなかったバンドが今になって出てきているってことがおもしろいなと。そういう前例ってあまりない気がして。だからこのバンドが言えること、やれることってあるんじゃないのかなと思います。今やからこそ歌える歌もあると思いますね。
──最近はベテランバンドが初の武道館公演を行う例もありますが、例えば30周年ぐらいのタイミングでそういった舞台に立ちたいと思いますか?
川さん 僕らライブでパンを配ったりするんですけど、武道館でやる時はブドウパンを使って何かしたいなとずっと思ってます。
──そこは決まってるんですね(笑)。
川さん はい、そこも韻を踏んで。僕はブドウパンそんな好きじゃないんですけど(笑)。
ゴッチ それは言わんでええねん(笑)。
ミュージックビデオ
リリース情報
『具GOODグー』
2016年8月3日(水)¥1,700+税 / ADVE-1012
収録曲:
1.ギョウザ食べチャイナ【餃子の王将公認餃子愛ソング】
2.カマす犬
3.短い夏休み
4.ムキョカ
5.Let It Die ~全てはイス取りゲーム~【PS4『LET IT DIE』公式参加ソング】
6.アフレダス生命
ライブ情報
「具GOODグーで郷GOゴー!ツアー2016-2017」
2016年8月11日(木・祝)関大前TH HALL
2016年9月30日(金)広島CAVE-Be
2016年10月1日(土)大分SPOT
2016年10月15日(土)徳島GRINDHOUSE
2016年10月16日(日)高知X-Pt.
2016年10月30日(日)松江AZTiC canova
2016年11月4日(金)神戸太陽と虎
2016年11月6日(日)滋賀B♭
2016年11月18日(金)仙台enn 2nd
2016年11月19日(土)八戸ROXX
2016年11月22日(火)苫小牧ELLCUBE
2016年11月23日(水・祝)札幌Bessie Hall
2016年11月25日(金)盛岡the five morioka
2016年11月26日(土)水戸LIGHT HOUSE
2016年11月27日(日)横浜F.A.D
2016年12月3日(土)高松DIME
2016年12月4日(日)岡山CRAZYMAMA 2nd Room
2016年12月9日(金)金沢vanvan V4
2016年12月10日(土)新潟RIVERST
2016年12月11日(日)松本ALECX
イベント情報
「『ギョウザ食べチャイナを踊っチャイナ』コンテスト!」
応募期間:2016年7月21日(木)18:00〜9月16日(金)23:59まで
優勝:MVメンバーの衣装(シャツ、ウィッグ、タイツ)4人分セット
※シャツはメンバー予備分だった別色の物です
準優勝:餃子の王将の餃子のお皿(4人分)+餃子ストラップ(4人分)
3位:餃子の王将お食事券1万円分+餃子ストラップ(4人分)
注意事項:
※録画時は、曲の音も入るように録画してください
※必ずハッシュタグ【#ギョウザ食べチャイナ,#PAN,#餃子の王将】をつけてください
※賞品は1団体に対しての内容になります
※入賞された方には発表後、PANスタッフからTwitter上で連絡をいたします
※公共の場、他人に迷惑をかける場所では踊らないで下さい
※間違っても餃子の王将、他店舗では踊らないで下さい
協力:王将フードサービス(餃子の王将)
提供:ムーンシャイン
企画・制作:RO69編集部