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バンド名に「死んだ」っていう言葉を付けたのは悪ふざけに近いですね(笑)。でも、その喪失感を究極に表したら、すごく切ないものができると思ったし、伝わる曲ができるんじゃないかなと(ishikawa)

――このタイトルは、どういうイメージから浮かんだ言葉なんですか?

ishikawa 「hades」は地獄、「the nine stages of ~」っていうのは、九相図っていう意味で。九相図っていうのは、死体がだんだん腐っていって、跡形もなくなっていく9枚の絵なんですね。松井冬子さんっていう画家が僕は好きなんですけど、松井冬子さんの作品って、内臓だとか死体が腐ってるような絵がいくつもあるんですけど、九相図にインスパイアされたっていう画集もあって。そこで、九相図ってどんなもんなんだろうと思って見たら、自分のなかにあるものとすごくリンクしてしまって。昔の仏教絵画だから、十二単を着たような、華やかな人生を送っている貴族の女性が描かれていて。でも死んだら、だんだんと膨れていって骨になって、犬に食われて、最後は跡形もなくなっちゃうっていう。端的に言うと、そういう儚さみたいなものをこのアルバムに投影したかったんですよね。

――ishikawaさんからこのタイトルを聞いたとき、みなさんはどう思いました?

ideta また長いタイトルがきたなって(笑)。

――そうですね(笑)。

ideta またか~って(笑)。でも、ishikawaくんは前々からそういう話はしてくれたことがあったので。地獄とか九相図っていう言葉が出てきたときに自分たちが表現しているものを、言い表してるなって思いましたね。

kawakami(B) 最初はちょっとよくわかんなかったんです。でも、九相図っていうものも見て、何となく理解して。それからは、曲ができていくにつれて、あぁ、なるほどなってどんどんイメージが湧いてきて。

――「死んだ僕の彼女」っていうバンド名もそうですけど、死っていうものをバンドのコンセプトにし続けているのは、どうしてなんですか?

ishikawa バンド名に「死んだ」っていう言葉を付けたのは、悪ふざけに近いですね(笑)。まぁもちろん、「死んだ」っていうのは縁起の悪い言葉なのかもしれないけど、べつに死ぬっていうのは自然現象だし、不謹慎な言葉だとは、僕は思ってなくて。当たり前ですけど、死んだらもう戻れないじゃないですか。そういう不可逆性というか、すごく大きな喪失感というか、そういうものを究極に表したら、すごく切ないものができると思ったし、伝わる曲ができるんじゃないかなと。

――だから、このバンドが歌ってる「死」って、いろんなものを内包してる感じがするんですね。今、ishikawaさんが話してくれた喪失感であったり、何かが変わってしまうこと、何かが忘れられていくこと、みたいなものを象徴した言葉が「死」なんじゃないかなっていう。

ishikawa あぁー、それは確かにそうかもしれませんね。特に、忘れるっていうことは、曲とか、バンドのイメージにすごく強く出ていると思います。やっぱりこう、自分の中でこれはもうずっと忘れない、忘れたくないって強く思った出来事っていうのも、薄れていってしまうわけだし、いつかは忘れてしまうかもしれないじゃないですか。だから、その忘れてしまう悲しさ、みたいなものを死にリンクさせてるところはありますね。

聴く人に難解さを求めたいわけじゃないので、ある程度スッと入ってくるポップさがないと嫌だし、でも、毒みたいな、卑屈でひねくれてるとこもなきゃ嫌だし(ishikawa)

――でも、このバンドの音楽って、基本的にはポップな、人に届くものになってると思うんですよ。

ishikawa そうですね。ポップですよね。

――やっぱり、歌とメロディが立つようなアレンジになってると思うし。死っていうものを表現しているのに、ポップなものが生まれてくるっていうのはどうしてなんだろうっていう。

kinoshita 僕らもポップなものが好きだし、人に聴いてもらうのであれば、やっぱね、受け入れてもらえるものにしないと意味がないなっていうのはありますよね。

ishikawa そうだね。たとえば、普通に日常生活を送ってるんだけども、そこには悲しいことがすごくたくさんあって。それと同じで、ポップな曲の中に見える、ちょっとのノイズギターだとか、ちょっとの悲しい歌詞だとか、そういうものがやりたいんですよね。いい曲はいい曲として、聴いてもらえる、受け入れてもらえるものを作りたいっていうのはあって。聴く人に難解さを求めたいわけじゃないので、ある程度スッと入ってくるポップさがないと嫌だし、でも、毒みたいな、卑屈でひねくれてるとこもなきゃ嫌だしっていう。

――なるほど。このアルバム、今までで一番バンド感というか、躍動感とか疾走感があるなっていう印象だったんですよね。

ishikawa それはすごいありますね。自分たちもそういうバンドっぽいものが好きなんでね。出自もバンドがやりたい小僧なので(笑)。

kinoshita 前はやっぱり、シューゲイザーって重ねるみたいなイメージを勝手に持ってたから、重ねることが正義みたいな作り方をしたんですけど。でも、今回は録る音に対するこだわりが、今までの作品の中で一番強かったなと。

ishikawa 特に、kuniiさんのドラムがすごい活き活きと録れて、それで他の4人が盛り上がったっていうのはありますね。

kunii(Dr) ショーキチさんのおかげっていうのもありますけどね。前のミニアルバムに引き続き、プロデュースをお願いするのも2度目ってことで、スムーズな現場になったんですよね。だから、いろんな意味でストレスなくできたので、それが間違いなく音として反映されていて。で、その分いっぱい聴いてもらいたいなって欲も出てきましたし。僕たちの意識としては、ショーキチさんも現場にいるときは、死んだ僕の彼女のもうひとりのメンバーっていう感じで。

kinoshita 最初は、ショーキチさんと一緒にやるの、すごい怖かったんですよ。僕らは尖ったことをやりたいけど、流されちゃうんじゃないかとか。でも、レコーディングの前にどうしようかっていう相談をちゃんとして。ショーキチさんとしても、プロデュースまでいっちゃうと、死んだ僕の彼女が死んだ僕の彼女じゃなくなっちゃうんじゃないかって迷ってるって言ってくれて。で、ショーキチさんもそう思ってくれているんだったら、大丈夫かなと思って、自分たちとしてもバンドマンとしてレベルアップしたいから、ぜひお願いしますっていう話をして。やっぱりね、純粋に楽しかったですよ。自分がこう弾いて、こうしたい、みたいなのをショーキチさんに伝えると、なるほど、こうなるのか、みたいなのが返ってきて。1言うだけで、10理解してもらえるんですよね。

――このアルバムは、バンドにとってどういう位置付けの作品になってると思いますか?

ishikawa ひとつの墓標ですね……あ、かっこいい。

一同 (笑)。

ishikawa 墓標は、目印として建ってるじゃないですか、で、名前を書いてある。そういうものですね。ここでバンドが生きていて、自分たちの現時点のすべてを込めることができた。ここで終わるかもしれないし、続けていってもう一個墓が建つかもしれないし、それはまだわからないですけど。今までも少しずつ墓は建ててきたと思うんですけど、今までで一番大きいものなんだと思います。

提供:n_ingen RECORD

企画・制作:RO69編集部

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